症例報告
慢性特発性偽性腸閉塞症に併発した腸管嚢腫様気腫症の1例
北山 卓, 内山 哲之, 阿部 友哉, 上野 達也1), 大沼 勝1), 柴田 近2), 伊勢 秀雄, 渡辺 みか3)
石巻市立病院外科, みやぎ県南中核病院外科1), 東北大学附属病院胃腸外科2), 同 病理部3)
症例は23歳の男性で,小学校低学年時に慢性特発性偽性腸閉塞症(chronic idiopathic intestinal pseudoobstruction;以下,CIIP)の診断で近医に通院していた.2005年12月に腹部膨満と著明な体重減少を主訴に当院消化器科に入院し,中心静脈栄養による保存的治療を受けていた.2006年8月に発熱と腹部膨満が増悪し急性腹膜炎を疑われ当科に転科した.腹部単純X線写真で拡張腸管と横隔膜下の遊離ガス像を認めた.しかし,腹膜刺激症状はなく,腹部の造影CTでは腸管壁の気腫性変化を認めるものの,腹水貯留はなくCIIPの経過から生じた腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;以下,PCI)と判断した.Long tubeによる腸管内容の持続吸引開始後10日目の造影CTでPCIは消退し腹腔内の遊離ガス像も減少した.腹腔内遊離ガス像やPCIを合併した腸閉塞症では,穿孔の危険から緊急手術の報告もあるが,慎重な判断を要する.
索引用語
diffuse peritonitis, CIIP, PCI
別刷請求先
内山 哲之 〒986-0835 石巻市南浜町1丁目7-20 石巻市立病院外科
受理年月日
2009年12月16日
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