症例報告
Meckel憩室内の異所性胃粘膜が発生母地と考えられた高分化型腺癌の1切除例
杉戸 伸好, 桑原 義之, 木村 昌弘, 三井 章, 石黒 秀行, 安藤 拓也, 呉原 裕樹, 高嶋 伸宏, 服部 日出雄*, 藤井 義敬
名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫外科学, 同 臨床病態病理学*
症例は43歳の男性で,右下腹部痛を主訴として近医受診した.急性虫垂炎様症状を呈し,保存的治療で軽快した.経過観察の腹部CTにて右下腹部の充実性腫瘤を認めた.検査所見から回腸悪性腫瘍の診断で,手術を施行した.回腸末端より約120 cmにMeckel憩室を認め,憩室先端部に腫瘍が存在した.腫瘍は膀胱右側腹壁へ浸潤し,腹膜播種と思われる小結節,腸間膜リンパ節の腫脹,肝転移を認めた.手術は腫瘍を含めたMeckel憩室の切除を行った.腫瘍は病理組織学的には,高分化型腺癌で,Meckel憩室内の異所性胃粘膜と連続していた.我々は異所性胃粘膜が発生母地と考えられたMeckel憩室癌の1例を経験したので自験例を加え,本邦報告例37例の集計および文献的考察を行った.
索引用語
Meckel's diverticulum, malignant ileal tumor, ectopic gastric mucosa
別刷請求先
杉戸 伸好 〒453-0815 名古屋市中村区北畑町4-1 名古屋市立西部医療センター城西病院外科
受理年月日
2009年12月16日
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