症例報告
回腸原発扁平上皮癌の1例
諏訪 宏和, 山岸 茂, 藤井 正一, 大田 貢由, 佐藤 知子, 平澤 欣吾, 永野 靖彦, 國崎 主税, 佐々木 毅1), 遠藤 格2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 同 病理1), 横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学2)
患者は36歳の男性で,右下腹部痛を主訴に受診した.右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,腹部造影CTでは回盲部付近に最大径70 mmの腫瘤性病変と,肝S4にlow density areaを認めた.小腸内視鏡検査にて回腸末端に潰瘍を有する腫瘍性病変を認め,生検で扁平上皮癌と診断された.食道,肺などに明らかな病変を認めず,小腸原発の扁平上皮癌,S状結腸および右尿管への直接浸潤疑いと診断し,右結腸切除,S状結腸部分切除,右尿管部分切除術を施行した.肝転移に対しては2期的切除を行った.病理組織学的検査では,回腸原発の高分化型扁平上皮癌であった.現在,術後22か月間無再発生存中である.国内外の文献の検索をしたかぎりでは,小腸原発の扁平上皮癌の報告は3例であった.今回,我々は非常にまれな回腸原発と考えられる扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.
索引用語
squamous cell carcinoma, ileum, liver metastasis
別刷請求先
諏訪 宏和 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学
受理年月日
2010年1月27日
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