症例報告
Stage IV直腸癌術後に生じた孤立性小腸転移の1切除例
中村 泉, 長澤 雄大1), 伊藤 哲郎, 斎藤 勝, 隈元 謙介, 鈴木 聡, 遠藤 良幸, 大木 進司, 杉野 隆2), 竹之下 誠一
福島県立医科大学器官制御外科, 太田綜合病院付属太田熱海病院外科1), 福島県立医科大学基礎病理2)
大腸癌の孤立性小腸転移はまれである.直腸癌術後3年半を経過して発症した小腸転移の1例を報告する.症例は73歳の男性で,直腸癌,同時性多発肝転移にて低位前方切除術,肝部分切除術を施行した(Rs,3型,tub2,se,ly1,v1,n1,P0,H3,M0,Stage IV).術後化学療法を行うも2年4か月後に左肺下葉転移を生じ胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した.経過観察中のCTにて下腹部正中の小腸腫瘍と右肺野に微小結節を指摘された.その後,下血あり小腸転移の診断にて回腸部分切除術を施行した.腫瘍は回腸粘膜に深い潰瘍を有し,病理検査では腸型の中分化型腺癌を認め直腸癌の小腸転移と診断した.現在,初回手術後6年2か月を経過し,多発肺転移,残肝再発を来し担癌状態ではあるが外来化学療法を継続している.大腸癌からの孤立性小腸転移は,効果の高い全身化学療法を背景に,適切な時期に外科治療を施行し,良好なquality of life(QOL)を維持しうる症例が存在すると考える.
索引用語
colon cancer, small-bowel metastasis
別刷請求先
中村 泉 〒960-1295 福島市光が丘1番地 福島県立医科大学器官制御外科
受理年月日
2009年12月16日
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