症例報告
子宮および両側付属器摘出術13年後に発症した虫垂子宮内膜症の1例
佐藤 嘉紀, 木村 俊久, 中澤 俊之, 小畑 真介, 竹内 一雄, 山口 明夫1), 今村 好章2)
舞鶴共済病院外科, 福井大学附属病院第一外科1), 同 病理部2)
今回,子宮および両側付属器摘出術13年後に発症した虫垂子宮内膜症の1例を経験したので報告する.患者は60歳の女性で,既往歴は47歳時に子宮筋腫で子宮および両側付属器摘出術を施行されている.平成20年9月,右下腹部痛を主訴に受診し腹部CTを施行したところ虫垂穿孔を否定できず緊急手術をおこなった.虫垂は発赤し壁肥厚化しており虫垂を根部にて切除した.病理組織学的診断では虫垂は委縮しており,粘膜上皮はほとんど認められなかった.壁には慢性炎症と拡張した腺腔構造を呈する子宮内膜組織が内膜間質を伴って認められた.また免疫染色検査でエストロゲンレセプターが陽性,またプロゲステロンレセプターも一部陽性であり,虫垂子宮内膜症と診断した.虫垂子宮内膜症は通常性成熟期に多く,閉経後は報告例も少ない.さらに,子宮および両側付属器摘出10数年後に発見された報告もなく貴重な症例であると考えられた.
索引用語
appendiceal endometriosis, after hysterectomy
日消外会誌 43: 1170-1175, 2010
別刷請求先
佐藤 嘉紀 〒625-8585 舞鶴市字浜1035 舞鶴共済病院外科
受理年月日
2010年4月28日
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