卒後教育セミナー
肝内結石症の病理
中沼 安二
金沢大学第2病理
最近の当教室の研究により,肝内の大型の胆管には付属腺があることが明らかとなり,その形態より壁外腺と壁内腺に分類しえた.壁外腺は胆管の両翼に配列し,胆管鋳型では木の枝のように配列していた.肝内結石症の全国調査を行った結果,多くの症例(胆道系腫瘍を合併していない273例中226例)は原因不明のビ石灰石であり,これを通常型とよんだ.この型には共通する胆管組織像があり,胆管壁は線維性に肥厚し,腺組織の著しい増生,炎症性細胞の浸潤が見られた(慢性増殖性胆管炎).胆管壁での粘液分泌亢進が結石の増生に関連することが示唆された.特殊な病態を呈したり,あるいは原因の明かな特殊型肝内結石症は273例中47例に見られ,明らかな先天性胆道形成異常が先行したと考えられる肝内結石症は15例と比較的少数であった.また,肝内コレステロール結石症は12例に見られ,末梢型で,多発する傾向があり,比較的特徴的な組織像が見られた.
索引用語
biliary tree, peribiliary glands, hepatolithiasis
別刷請求先
中沼 安二 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2病理
受理年月日
1989年9月19日
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