原著
Ileo-jejunal transpositionの胃酸分泌および消化管ホルモン分泌に及ぼす影響に関する実験的研究
戸田 守彦, 佐々木 巌, 内藤 広郎, 高橋 道長, 松野 正紀
東北大学医学部第1外科
Enteroglucagon(EG)の胃酸分泌抑制作用およびEG分泌とGIP分泌との関連について実験的に検討した.遠位回腸を空腸上部に有茎移植するモデルileo-jejunal transposition(IJT)が高EG血症を来すモデルであることに着目し,イヌ16頭を用いて,IJTおよびsham operationを施行し,その術前後でHeidenhain pouch(H-P)よりの胃酸分泌および消化管ホルモンについて検討し,以下の成績を得た.1.IJT術後は高EG血症が認められた.2.IJT術後はgastrinの著明な上昇およびH-Pよりの胃酸分泌亢進が認められた.このことはEGのenterogastrone作用を支持する結果ではなかった.3.IJT術後はGIPが60分から90分で有意の分泌抑制を認めたが,これのみでIJT後の胃酸分泌亢進を説明することは難しいと考えられた.またEG分泌とGIP分泌との間には関連が認められなかった.以上より,本モデルにおいて生じる高EG血症の胃酸分泌に与える影響は少ないと考えられた.
索引用語
gastric acid secretion, biliary diversion, enterogastrone, enteroglucagon, gastric inhibitory polypeptide
別刷請求先
戸田 守彦 〒034 十和田市西12-14-8 十和田市立中央病院外科
受理年月日
1989年11月8日
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