脂肪負荷試験からみたileo-jejunal transpositionモデルの腸管機能について―とくに脂質代謝と消化管ホルモンの変動から

戸田　守彦, 佐々木　巌, 内藤　広郎, 舟山　裕士, 神山　泰彦, 高橋　道長, 福島　浩平, 松野　正紀

東北大学第1外科

　遠位回腸を空腸上部に有茎移植するileo-jejunal transposition（IJT）が脂質消化吸収および消化管ホルモン分泌に与える影響を検討する目的で，雑種成犬11頭にIJTおよびsham operationを作成し，バター2 g/kg経口投与による脂肪食負荷試験を施行して，以下の成績を得た．1）血中中性脂肪は両群とも術前に比べ術後5週に基礎値から負荷後30分にかけて有意の高値を示したが，血中遊離脂肪酸およびcholesterol値は術前・後で変化を認めなかった．2）IJT groupでは術後5週にenteroglucagon基礎値が術前に比べ有意の高値を示したが，負荷後は術前後で有意の変化を認めなかった．3）IJT後，gastric inhibitory polypeptideは負荷後の反応が抑制されたが，血漿gastrin，insulin値は術前後で変化を認めなかった．以上より，脂防の消化吸収に対するIJTの影響は大きくないことが示された．また脂肪消化吸収とenteroglucagon分泌は密接に関連している可能性が示唆された．

索引用語
short bowel syndrome, enteroglucagon, gastric inhibitory polypeptido, ileo-jejunal transposition, digestion and absorption of the fat

別刷請求先
戸田　守彦　〒034　十和田市西十二番町14-8　十和田市立中央病院外科

受理年月日
1989年11月8日

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