症例報告
同一腫瘍内におけるDNA ploidyおよびepidermal growth factor染色性の部位別比較―食道癌7例において―
出口 宝, 戸田 隆義*, 富田 秀司, 濱田 雄志, 奥島 憲彦, 高江州 裕, ファイサル ムアザム, 外間 章, 武藤 良弘
琉球大学医学部第1外科, *琉球大学医学部附属病院検査部病理
同一腫瘍内癌細胞の部位別特性の異同の有無を食道癌7例において検討した.それぞれ異なった4部位および正常粘膜より組織を採取,顕微蛍光測光法によるDNA ploidyとモノクローナル抗体を用いたepidermal growth factor(EGF)の染色程度を比較検討した.その結果,(1)DNA indexは3例が部位による差が大であり,DNA ploidy patternは5例に異なるpatternが混在していた.(2)EGF染色程度は1例のみ4部位とも一致し,6例は部位により染色程度が異なった.(3)EGF染色程度およびDNA ploidy patternが4部位とも一致したのは1例のみであった.以上の結果より,食道癌の同一腫瘍内における生物学的多様性が示唆された.
索引用語
DNA analysis on a esophageal carcinoma, intra tumoral regional heterogeneity, expression of epidermal growth factor
日消外会誌 23: 2099-2103, 1990
別刷請求先
出口 宝 〒903-01 沖縄県中頭郡西原町字上原207 琉球大学医学部第1外科
受理年月日
1990年4月11日
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