原著
胃悪性リンパ腫に対する外科的治療および術後補助化学療法
北村 正次, 荒井 邦佳, 宮下 薫, 神前 五郎, 井深 多鶴子*
東京都立駒込病院外科, *同 化学療法科
当院で経験した胃悪性リンパ腫27例を治癒切除群(20例)と非治癒切除群(7例)に分け,これらの外科的治療成績ならびに本症に対する治療方針について検討した.治癒切除例の5年生存率は78.4%と比較的良好であったが,非治癒切除例では35.7%と不良であった.治癒切除群におけるリンパ節転移の有無と生存率との関係をみると他病死3例を除いたn(+)10例の5年生存率は89.5%,n(-)7例のそれは84.6%と大きな差を認めなかった.一方,S3症例5例のうち,合併切除することにより2例が10年以上生存した.これらの成績は,胃癌と同様に,治癒切除となるような十分な郭清術式とS3症例には積極的な合併切除を行うことにより良好な成績を得ることが可能であることを示している.また術後には集学的治療の一つとして適切な化学療法を施行することが予後向上に重要な因子であると考えられた.
索引用語
gastric malignant lymphoma, surgical lymph node dissection, adjuvant chemotherapy, prognosis of gastric malignant lymphoma
日消外会誌 23: 2215-2220, 1990
別刷請求先
北村 正次 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1990年5月9日
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