原著
小腸の阻血と血流再開後の粘膜障害に関する実験的研究
高森 正人
金沢大学第2外科学教室(主任:宮崎逸夫教授)
xanthine oxidaseを阻害しfree radicalsの産生を抑制するallopurinolの投与と灌流の,小腸の阻血と血流再開後の粘膜障害に対する保護効果を,主に,イヌの小腸絨毛のNa+-K+ATPase活性の変化から検討し,次の結論を得た.灌流またはsuperoxide産生阻害剤を投与しなかった群と灌流またはsuperoxide産生阻害剤の投与の単独実施群では,control群より有意(p<0.05)にNa+-K+ATPase活性は低下した.superoxide産生阻害剤を投与し,同時に灌流を実施した群ではその低下が有意(p<0.05)に抑制された.したがって,小腸の阻血と血流再開後の粘膜障害としてNa+-K+ATPase活性が低下すること,また,その原因としてfree radicalsが関与し,さらに,superoxide産生阻害剤としてのallopurinolの投与は阻血と血流再開後の小腸粘膜の保護に有効であることを明らかにした.
索引用語
small intestine, ischemia of small intestine, free radicals, allopurinol, Na+-K+ATPase
日消外会誌 23: 2244-2250, 1990
別刷請求先
高森 正人 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1990年5月9日
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