消化管原発悪性リンパ腫の予後因子に関する検討

川口　学永, 大口　善郎, 荻野　信夫, 真嶋　敏光, 越智　昭博, 大下　征夫, 小林　春秋男, 高尾　哲人

国立呉病院外科

　消化管原発悪性リンパ腫手術症例17例の予後因子および治療について検討した．
　Naqviら²⁾分の分類では5年生存率はI，II期（11例）74.1％，III，IV期（6例）33.3％（p＜0.05）であった．主にリンパ節転移，深達度によるNaqviら²⁾の分類は予後を推測する上で有効であった．深達度別ではse以上（9例）に比べssまで（7例）の3年生存率は良好であったが（p＜0.05），5年生存率ではssまでが低値を示した（有意差なし）．リンパ節転移別ではn₂以上（10例）に比べn₀n₁（6例）の5年生存率が良好であった（p＜0.05）．すなわち，深達度は短期の，リンパ節転移は長期の予後因子としての重要性が示唆された．術式別5年生存率は治癒切除群（8例）80.0％，非治癒切除群（9例）42.9％（p＜0.05）で，リンパ節郭清を含む根治術が必要と考えられた．術後補助化学療法施行群の5年生存率は74.0％で，非施行群の33.3％に比べ良好（p＜0.05）で，生存期間でも有意の差がみられ（p＜0.05），術後補助化学療法の併用が重要と考えられた．

索引用語
malignant lymphoma, gastrointestinal malignant lymphoma, prognostic factors

別刷請求先
高尾　哲人　〒737　呉市青山町3-1　国立呉病院外科

受理年月日
1990年6月13日

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