原著
胃癌におけるc-erbB-2蛋白の発現と臨床評価
米村 豊, 大山 繁和, 二宮 致, 木下 一夫, 伏田 幸夫, 木村 寛伸, 小坂 健夫, 山口 明夫, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
胃癌150例のパラフィン包埋ブロックを用い,c-erbB-2蛋白に対するポリクローナル抗体によりlabeled streptoavidin biotin法で蛋白の発現を検討した.c-erbB-2蛋白は胃癌細胞膜上にみられ,陽性例は26例(16.7%)であった.c-erbB-2蛋白陽性例は腫瘍径6 cm以上・奨膜浸潤,リンパ節転移陽性例で,それ以下または陰性例に較べ有意に多くみられた.しかし,組織型・肉眼型とc-erbB-2蛋白発現との関連はなかった.予後をみるとerbB-2蛋白陽性例の5年生存率8%,陰性例では47%と有意に陽性例の予後は不良であった.以上よりc-erbB-2蛋白を免疫組織学的に染色することは胃癌の悪性度を検討する良いパラメータになると考えられた.
索引用語
c-erbB-2, gastric carcinoma, malignancy of gastric carcinoma
日消外会誌 23: 2747-2750, 1990
別刷請求先
米村 豊 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学第2外科
受理年月日
1990年9月12日
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