症例報告
肝内結石症に併存した肝原発腺扁平上皮癌の1例
堀内 哲也, 坂口 雅宏, 岡 統三, 山本 誠己, 鎌田 義紘, 田中 晋二, 田伏 克惇
国立大阪南病院外科
肝内結石症に肝原発腺扁平上皮癌を併存した1例を経験した.
症例は74歳の男性で上腹部痛と発熱を主訴とし,肝内結石および総胆管結石症を疑われ,当科に入院した.諸検査により肝内結石症の肝膿瘍の合併と考え,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的には左肝管付近にはcholangiocarcinomaが,外側上区域にはsquamous cell carcinomaが存在し,肝内結石症に合併した肝原発腺扁平上皮癌と診断した.術後3か月目に肝転移をきたし,術後9か月目に肝不全にて死亡した.
肝原発腺扁平上皮癌は1971年にPianzolaらが最初の報告をし,以後現在までに21例の報告がある.肝における扁平上皮癌の発生母地については諸説があるが,本例においては胆管癌より化生性変化をきたしたものと考えた.さらに本例では肝内結石が胆管癌の発生に関与したと思われた.
索引用語
adenosquamous carcinoma of the liver, hepatolithiasis
別刷請求先
堀内 哲也 〒910-11 福井県吉田郡松岡町下合月23 福井医科大学第2外科
受理年月日
1990年11月19日
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