特集
大腸癌肝転移の外科治療
杉原 健一, 北條 慶一, 森谷 宜皓, 長谷川 博, 山崎 晋, 小菅 智男, 高山 忠利
国立がんセンター病院外科
1978年から1989年までの12年間に大腸癌肝転移147症例に肝切除が行われ,そのうち106例に治癒的切除が行われた.病院死した2例を除いた104例の3年生存率は59.9%,5年生存率は38.8%の結果を得た.異時性肝転移,原発巣のリンパ節転移陰性,肝左葉に転移が相対する群より良好な生存率が得られた.その他の因子つまり,原発巣の部位,分化度,転移巣の数,大きさ,術前のcarcinoembryonicantigen値,肝切除術式は生存率に影響を与える因子ではなかった.再発は52例に認め,残肝再発は30例(28.8%),次いで肺転移が14例(13.5%)であった.十分な残肝量が保ててしかも技術的に病巣の完全切除が可能であれば肝切除の適応がある.肝外転移を有する症例でもその転移がコントロール可能であれば肝切除の対象となる.
索引用語
hepatic metastases from colorectal cancer, hepatic resection, recurrence after hepatic resection
日消外会誌 24: 1147-1151, 1991
別刷請求先
杉原 健一 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1990年11月19日
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