原著
実験的閉塞性黄疸におけるdibutyryl cyclic adenosine monophosphate負荷時の血糖および膵ホルモンの変動
込谷 淳一
群馬大学医学部第2外科学教室(主任:泉雄 勝教授)
閉塞性黄疸における糖代謝異常,膵内分泌能を研究する目的で,実験的閉塞性黄疸犬にて経時的にdibutyryl cyclic adenosine monophosphate(DB-cAMP)を負荷し(1群〔n=5〕:3 mg/kg one shot門脈内投与,2群〔n=5〕:0.2 mg/kg/minで2時間持続門脈内投与),血糖およびインシュリン,グルカゴンの変動を観察した.その結果,DB-cAMP負荷時血糖の上昇を認めたが,総胆管結紮後,黄疸の進行に従ってDB-cAMP負荷時の血糖上昇反応は減弱した.DB-cAMP負荷により末梢血および門脈血中のimmunoreactive insulin(IRI)は上昇したが,IRI上昇反応は黄疸の進行に従って減弱した.黄疸時にもDB-cAMP負荷時のIRI初期反応は温存された.DB-cAMP負荷前のimmunoreactive glucagon(IRG)値は黄疸前に比べ黄疸時に高値を呈した.DB-cAMP負荷後のIRG反応は黄疸前では1群ではほとんど変化せず,2群はやや低下した.それに対して,黄疸時ではoGTT時のIRG奇異反応に類似したIRGの上昇反応を呈した.
索引用語
obstructive jaundice, dibutyryl cyclic adenosine monophosphate, carbohydrate metabolism, insulin, glucagon
日消外会誌 24: 1220-1229, 1991
別刷請求先
込谷 淳一 〒375 藤岡市藤岡607-22 島田記念病院外科
受理年月日
1991年2月13日
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