大腸癌肝転移巣切除後の残肝再発とその対策

山口　明夫, 木村　寛伸, 黒阪　慶幸, 石田　哲也, 西村　元一, 神野　正博, 小坂　健夫, 米村　豊, 泉　良平, 三輪　晃一, 宮崎　逸夫

金沢大学第2外科

　大腸癌肝転移切除例40例を対象として，残肝再発について検討した．術後再発は62.5％にみられ，うち残肝再発は17例（42.5％）であった．肝転移個数では3個以上の症例に残肝再発がやや多い傾向がみられたが，肝転移の程度には差はみられなかった．腫瘍径では5 cm以下では差がみられず，5 cm以上になると残肝再発率66.7％と高率になった．術式では差がみられなかったが，肝切離面における癌浸潤の有無をみると，1 cm未満の62.5％に比べて，1 cm以上では29.2％と有意に低くなる傾向がみられた．またDNA ploidy patternではaneuploid症例において，残肝再発率が有意に高率であった．一方残肝再発予防として，succinate dehydrogenase inhibition testにて，薬剤感受性試験を行い，それをもとにして肝動注を行った症例では，残肝再発率が25％と，動注非施行例の46.9％に比べて低率であった．

索引用語
colorectal cancer, resection of liver metastases, hepatic recurrence, DNA ploidy pattern, SDI test

別刷請求先
山口　明夫　〒920　金沢市宝町13-1　金沢大学医学部第2外科

受理年月日
1991年2月13日

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