症例報告
著明な嚢胞状胆管拡張を示した粘液産生胆管癌の1例
村山 道典, 初瀬 一夫, 小宮山 明, 玉熊 正悦, 寺畑 信太郎*
防衛医科大学校第1外科, 同 病院検査部病理*
われわれは著明な嚢胞状胆管拡張を示した粘液産生胆管癌を経験した.症例は68歳女性で,右背部痛を主訴として来院.総胆管結石の診断で胆嚢摘出,総胆管切開Tチューブドレナージ術を施行した後,Tチューブより粘液の流出が認められた.しかし粘液の流出が徐々に減少し,悪性の所見が認められないため退院となった.外来経過観察中DU-PAN-2の異常高値が認められ,左肝内に嚢胞状病変が認められたため再入院となり再手術を施行した.術中の嚢胞内穿刺液の細胞診がclass 5のため,粘液産生胆管癌の診断で肝左葉切除術を施行した.本症の本邦報告例は著者の調べた範囲では33例しかなく,比較的まれな疾患と思われる.一般の胆管癌より比較的予後良好だと考えられるが,浸潤・転移例の報告もあるので慎重な経過観察が必要と考えられる.
索引用語
mucin-producing cholangiocarcinoma
日消外会誌 24: 2051-2055, 1991
別刷請求先
村山 道典 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1991年2月13日
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