原著
ラットCC14障害肝モデルにおける肝マイクロゾーム機能の術前肝予備能評価法としての意義
菅沢 寛健, 宮崎 勝, 奥井 勝二
千葉大学医学部第1外科
ラットCC14慢性肝障害モデルを作製し,アミノピリン呼気テスト(ABT)による肝マイクロゾーム機能量を40%肝部分切除前後に測定し,肝蛋白合成能との関係も検討した.正常肝(n=5)に比べCC14障害肝群(n=14)では術前ABTは軽度低下をみるが有意差はない.40%肝切除後の低下はCC14障害肝群で著明であり(p<0.05)その回復も遅延した.肝切除後生存群の術前ABTは68±29%,死亡群は16.9±2.7%と有意の低下を示した(p<0.05).肝蛋白合成能は正常肝群404±90 dpm/mg proteinに比べCC14障害肝群では1,470±405 dpm/mg proteinと有意に高値を示しABT値とは負の相関を認めた(r=0.881,p<0.001).肝組織内蛋白含量はCC14障害肝群で低下したが有意差はなかった.ABTでみる肝マイクロゾーム機能量はCC14障害肝ラットでの肝切除時の予備力評価に有用である.またCC12障害肝での肝蛋白合成能の亢進はABTでみる肝予備力低下に連なるものと考えられた.
索引用語
CC14-induced liver injury aminopyrine breath test, hepatic protein synthesis, partial hepatectomy, hepatic microsomal functional mass
日消外会誌 24: 2149-2154, 1991
別刷請求先
菅沢 寛健 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1991年4月17日
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