症例報告
急性腹症で発症した膵のsolid and cystic tumorの1例
川人 宏次, 井上 淳, 久保 琢自, 出川 寿一, 高木 淳彦, 坂本 昌義, 丸山 雄二
三井記念病院外科
膵のsolid and cystic tumorの1例を経験したので報告する.症例は15歳の女性で,主訴は左上腹部痛である.入院時臨床検査所見では異常を認めなかったが,腹部超音波検査,CT,血管造影検査より膵体尾部腫瘍と診断した.入院3日目から上腹部の激痛,嘔吐などの急性腹症を呈し緊急に膵体尾部切除術を行った.腫瘍はよく被包化され,12×9×6 cm大で内部には出血壊死が著明であった.病理組織所見では腫瘍組織は充実性および乳頭状に増殖しており,免疫組織化学的検査ではα1-antitrypsinが陽性であった.電顕上zymogen様顆粒は認められなかった.以上によりsolid and cystic tumor of the pancreasと診断した.術後4年の現在再発なく健在である.
索引用語
solid and cystic tumor, acute abdomen
日消外会誌 24: 2457-2460, 1991
別刷請求先
川人 宏次 〒101 千代田区神田和泉町1 三井記念病院外科
受理年月日
1991年4月17日
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