胆石症における術中胆嚢胆汁培養および術後T-tube胆管胆汁培養の検討

内藤　弘之, 来見　良誠, 柴田　純祐, 長谷　貴将, 辻　一弥, 遠藤　善裕, 谷　徹, 田村　祐樹, 小玉　正智

滋賀医科大学第1外科

　胆石症158例における術中胆嚢胆汁培養と，T-tubeを留置した48例におけるT-tube胆管胆汁培養について検討した．術中胆嚢胆汁培養ではE.coli 18例，Klebsiella 12例，Enterococcus faecalis 11例と高頻度に分離された．胆管結石症，胆石による症状の既往のある症例，高齢者（60歳以上），術前に肝機能異常や発熱，白血球数の上昇を認めた症例において細菌の分離頻度が有意に高かった．
　一方，T-tube胆管胆汁培養ではEnterococcus faecalisの分離される頻度が時間経過とともに増加し，術中に多かったE.coli，Klebsiellaの分離頻度が減少した．抗生剤に対しE.coli 94.9％，Klebsiella 81.9％と良好な感受性を示したのに対し，Enterococcus faecalisは53.3％と低く，このことがT-tube胆管胆汁培養における菌交替現象の原因のひとつと考えられた．胆石症術後感染は18例で，そのうち13例の起因菌は胆汁からの分離菌と同じであった．

索引用語
cholelithiasis, intraoperative culture of bile juice of gall bladder, postoperative culture of bile juice of cheledocus from T-tube, enterococcus faecalis, infectious complication after operation of cholelithiasis

別刷請求先
内藤　弘之　〒520-01　大津市瀬田月輪町　滋賀医科大学第1外科

受理年月日
1991年5月8日

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