ヒト大腸癌細胞株をヌードマウス継代中に発生したマウス由来腺癌XK-4細胞の性状と転移能に関する検討

足立　俊之, 犬房　春彦, 森　亘平, 原　聡, 相良　憲幸, 松田　泰次, 安富　正幸

近畿大学医学部第1外科

　新しい腺癌肝転移モデルを樹立した．1985年10月に当院で手術した直腸癌組織をヌードマウスの背部に移植し，ヒト大腸癌細胞株KUM・RK-4Nを樹立し以後継代した．1990年2月にこの腫瘍より初代培養を行い培養細胞株を樹立した．この細胞をヌードマウスに尾静脈注入および前腸間膜静脈より注入したところ，約2～3週間で肺および肝臓に明瞭な結節型の転移巣を生じた． ヒト癌でのヌードマウスにおける転移はまれであり，この培養細胞の染色体分析およびアイソザイム分析ではマウス由来の癌と考えられ，また胸腺正常同系マウスヘの移植は拒絶されたため，ヌードマウス由来腺癌と考えXK，4細胞と名ずけた．今回，このXK-4細胞の生物学的特性と肺および肝臓への転移能を検討した．

索引用語
nude mouse, spontaneous tumor in nude mouse, liver metastatic model, lung metastatic model

別刷請求先
足立　俊之　〒589　大阪狭山市大野東377-2　近畿大学医学部第1外科

受理年月日
1991年9月4日

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