原著
直腸癌に対するOK-432の腫瘍近傍投与によるNK活性増強効果
緒方 裕, 磯本 浩晴, 白水 和雄, 荒木 靖三, 中川 喜一郎, 掛川 暉夫
久留米大学医学部第1外科
直腸癌患者23例に対しOK-432の腫瘍近傍投与を行ない,peripheral blood lymphocytes(以下PBL),portal vein lymphocytes(以下PVL),tumor infiltrating lymphocytes(以下TIL)およびlymphnode lymphocytes(以下LNL)のnatural killer(以下NK)活性の増強の有無を検討した.比較対照として無処置の25例を用いた.
PBLおよびLNLでは,OK-432の局注によるNK活性の増強は認められなかった.TILでは,17例中8例のほぼ半数に約20%以上の高い活性値が得られ,対照例に比べ明らかに高値を示した.局注例では,PVLのNK活性値はPBLに比べ有意に高値を示した.また,TILのNK活性高値例では低値例に比べてPVLのNK活性値が有意に高かった.
以上,OK-432の腫瘍近傍投与によりTILおよびPVLのNK活性が増強され,直腸癌に対する術前補助療法として本法の有用性とくに肝転移抑制効果が期待される.
索引用語
peritumoral administration of OK-432, natural killer activty of portal vein blood lymphocytes, natural killer activty of peripheral blood lymphocytes, rectal cancer
日消外会誌 24: 2990-2995, 1991
別刷請求先
緒方 裕 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1991年9月4日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|