原著
膠原病患者における腹部手術のリスクファクターの検討
狩峰 信也, 上尾 裕昭, 麻生 宰*, 有永 信哉, 安部 良二, 井上 裕, 渡辺 大介, 松岡 秀夫, 高椋 清, 永松 正哲, 秋吉 毅
九州大学生体防御医学研究所外科, 山香町立国保総合病院外科*
膠原病患者の腹部手術21例の臨床像と手術成績を左右した要因について検討を加えた.術前より臓器機能障害を有した症例が14例(66.7%)と高率であり,14例(66.7%)にステロイド投与歴を認めた.予後良好群:15例と在院死した予後不良群:4例の2群に分けて予後を左右した要因を解析すると,(1)緊急手術の場合(p<0.05),(2)腸管壊死,急性膵炎など膠原病自体の進行に伴った病変に対する手術(p<0.01)の予後が不良であり,一方(3)膠原病の病態とは無関係に偶発した胃癌,胆石症などの手術の予後は良好であることが示された(p<0.01).
以上の結果より,膠原病患者といえども,積極的な外科的アプローチが可能なこと,および急性腹症に対しては早期の診断と手術適応の決定がとくに重要なことが示唆された.
索引用語
risk factors in abdominal surgery for patients with collagen disease
日消外会誌 24: 2996-2999, 1991
別刷請求先
狩峰 信也 〒874 別府市鶴見原4546 九州大学生体防御医学研究所外科
受理年月日
1991年9月4日
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