早期胃癌治癒切除術後再発例の組織亜型よりみた組織学的悪性度

斉藤　善広, 椎葉　健一, 蝦名　宣男, 松野　正紀, 大内　明夫^＊

東北大学医学部第1外科, 東北労災病院外科^＊

　過去12年間に治癒切除された早期胃癌症例325例を対象とし組織亜型の面より組織学的悪性度の検討を行った．325例のうち癌再発をきたした症例は粘膜層癌（m癌）が188例中5例2.7％，粘膜下層癌（sm癌）が137例中9例6.6％の合計14例4.3％の頻度であった．組織型別には中分化型管状腺癌（tub₂）が85例中6例7.1％，低分化腺癌（por）が62例中3例4.8％と特に再発例が多かった．ここでこの2つの組織型に着日し，両者の混在した組織形態を特にtub₂-porとし，tub₂純型，por純型の3型の比較検討を行った．リンパ節転移率はtub₂純型が72例中7例9.7％，por純型が47例中6例12.8％に較べtub₂-porは28例中8例28.6％と有意に高率であった．また再発率もtub₂純型が2例2.8％，por純型が1例2.1％に比べtub₂‐porは6例21.4％と有意に高率であった．以上よりtub₂とporの混在した組織形態は他の組織型に比べ悪性度の高い組織形態と考えられる．

索引用語
early gastric cancer, recurrence after curative resection, histological subtype of gastric cancer, histological grade of malignancy

別刷請求先
斉藤　善広　〒980　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学医学部第1外科

受理年月日
1991年10月9日

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