原著
術中肝血流障害に対するprostaglandin E1の効果に関する実験的検討
新井 善雄, 浅沼 義博, 南篠 博, 佐藤 勤, 加藤 裕治郎, 面川 進, 小山 研二
秋田大学医学部第1外科
肝血流障害時に,prostaglandin(PG)E1が肝血行動態におよぼす影響について実験的に検討した.雑種成犬21頭を開腹し,まず門脈,肝動脈血流量を超音波トランジェットタイム血流計で,肝組織血流量を電解式組織血流計で測定し,これらを対照値とした.次に,ローラーポンプを用いて肝動脈血流量,門脈血流量を0%,50%に調節する肝流入調節群を作成し,その際の門脈血流量,肝動脈血流量,肝組織血流量を測定した.その結果,門脈血流量を0%にすると肝動脈血流量は161%に著増するのに対し,肝動脈血流量を0%にしても門脈血流量は変化しなかった.また,門脈,肝動脈血流量を0%にした時の肝組織血流量は各78%,70%に減少した.一方,PGE1を0.2 µg/kg/min末梢静脈から持続注入すると,門脈,肝動脈,肝組織血流量はおのおの増加し,門脈,肝動脈血流量を0%にした時の肝組織血流量は各88%,82%と良好であった.したがってPGE1投与は手術にともなう肝血流障害を改善しうる.
索引用語
hepatic arterial flow, portal venous flow, tissue blood flow of the liver, regulation of hepatic blood flow, prostaglandin E1
別刷請求先
小山 研二 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1991年11月20日
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