閉塞性黄疸肝の肝切除後再生におよぼすprostaglandin-E₁誘導体の影響

木村　文夫, 宮崎　勝, 宇田川　郁夫, 越川　尚男, 伊藤　博, 海保　隆, 松本　潤, 磯野　敏夫, 鈴木　裕之, 奥井　勝二

千葉大学医学部第1外科

　ラットを用いて閉塞性黄疸を作製し，5日および14日の閉塞期間の後，68％肝部分切除を施行した．再生肝のDNA合成能および肝切除前後の肝蛋白合成能を測定しprostaglandin-E₁誘導体（PC）がこれらに与える影響について検討した．DNA合成能はin vitroで³H-thymidineの取り込みにより，また，肝蛋白合成能は¹⁴C-leucineの取込みにより測定した．閉塞5日群のDNA合成能は著しく抑制され，閉塞14日群ではさらに強い抑制を示した（p＜0.01）．閉塞5日群の肝蛋白合成能は強い亢進を示し，閉塞14日群ではさらに著しい亢進を示した（p＜0.01）．正常肝の肝切除後の蛋白合成能は肝切除前に比べ著しい亢進を示したが，黄疸肝の肝切除後には肝切除前に比べむしろ低下した．PGはin vitroで黄疸肝のDNA合成能と肝蛋白合成能を亢進させ，黄疸肝において肝細胞保護効果を持つ可能性が示された．

索引用語
obstructive jaundice, liver regeneration after partial hepatectomy, hepatic protein synthesis, DNA synthesis in regenerating liver, prostaglandin-E₁ derivative

別刷請求先
木村　文夫　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第1外科

受理年月日
1991年11月20日

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