原著
癌家族歴陽性大腸癌の臨床的特徴
渡辺 文明, 野水 整, 安藤 善郎, 吉田 典行, 土屋 敦雄, 阿部 力哉
福島県立医科大学外科学第2講座
教室における大腸癌手術症例224例のうち,大腸癌家族歴陽性例は14例,6.7%,他癌家族歴陽性例は35例,35%で,癌家族歴陰性例は174例,77.7%であった.診断時年齢は大腸癌家族歴陽性群が平均53.6歳と他の2群に比べ若年性であり,発生部位についても結腸の割合が高かった.異時性多発癌を含む重複癌の頻度は大腸癌家族歴陽性群で7.1%と他の2群より高い傾向にあった.
これらの結果から大腸癌家族歴陽性例は,家族性大腸癌と類似の臨床的特徴を持っているように思われた.5年生存率も大腸癌家族歴陽性群で70.5%と良好であり,家族歴は癌の早期発見,早期治療のための有用なマーカーの一つである.
索引用語
family history, hereditary non polyposis colorectal cancer
日消外会誌 25: 1243-1247, 1992
別刷請求先
渡辺 文明 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第2外科
受理年月日
1992年2月12日
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