原著
多発性内分泌腺腫症I型および原発性上皮小体機能克進症症例における上皮小体摘除の血清ガストリン値に及ぼす影響について
袖山 治嗣, 黒田 孝井, 小林 信や, 小松 誠, 飯田 太
信州大学第2外科学教室
多発性内分泌腺腫症I型(MEN type I)2例および原発性上皮小体機能亢進症(HPT)10例において,上皮小体摘除の血清ガストリン値に及ぼす影響,病変を認めた上皮小体の抗ガストリン抗体染色態度を検討した.
MEN type I症例において,上皮小体摘除後血清ガストリン値は著明な低下を示した.HPT症例において,上皮小体摘除後血清ガストリン値は10例中7例で低下し,平均値は216.1±228.3 pg/mlから113.1±51.1 pg/mlと低下傾向を示したが,有意差はなかった.
MEN type I症例2例中1例が,HPT症例10例中6例の上皮小体が抗ガストリン抗体弱陽性に染色された.抗ガストリン抗体染色態度と,上皮小体病変の組織型,術前後の血清ガストリン値との関係を検討したが有意な相関は認められなかった.
索引用語
multiple endocrine neoplasia type I, primary hyperparathuroidism, gastrin
日消外会誌 25: 1263-1267, 1992
別刷請求先
袖山 治嗣 〒390 松本市旭3-1-1 信州大学医学部第2外科
受理年月日
1992年1月8日
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