症例報告
脾原発悪性リンパ腫と肝細胞癌の異時性重複の1例
外川 明, 志村 賢範, 鈴木 秀, 塚本 剛, 真田 正雄, 加藤 厚, 平田 正雄, 今野 暁男*
千葉労災病院外科, 同 病理*
症例は49歳男性.以前より肝硬変および脾腫を指摘され近医通院中であったが,1987年3月左側胸部痛を訴え当院受診した.超音波検査,computed tomography検査,Gaシンチグラフィーなどにて,脾原発悪性リンパ腫を疑い脾摘出術を行った.脾割面では充実性・弾性硬,境界明瞭の最大7 cm最小3 cmの腫瘍を3個認めた.組織診断はmalignant lymphoma,diruse large cell type(B cell)であった.術後,CHOP療法を6クール施行し退院した.外来にて経過観察中,2年1か月後肝細胞癌を指摘され,経皮的エタノール注入療法を行った.脾摘後4年を経過した現在,悪性リンパ腫は再発の徴候なく肝細胞癌は縮小している.
索引用語
primary malignant lymphoma of the spleen, hepatocellular carcinoma, double cancer
日消外会誌 25: 1320-1324, 1992
別刷請求先
外川 明 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1992年1月8日
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