症例報告
膵転移を来たした腎細胞癌の1例
中川 国利, 土屋 誉, 桃野 哲, 佐々木 陽平, 佐藤 寿雄
仙台赤十字病院外科
症例は63歳の女性で,4年前に右腎細胞癌で右腎摘出を,2年前左肩皮膚転移巣の切除を受けた.以後当院泌尿器科で経過を観察していたが,腹部超音波検査で膵臓に境界明瞭で低エコーレベルの充実性腫瘍を多発性に認めた.またcomputed tomography検査でも,造影剤で濃染する腫瘍像を認めた.endoscopic retrograde pancreatographyでは主膵管の圧排伸展や尾部での完全閉塞を,腹腔動脈造影検査では境界明瞭なび漫性濃染像を多発性に認めた.以上より,腎細胞癌膵転移もしくは原発性膵腫瘍と診断し,膵全摘術を施行した.切除標本では,膵全体に多発性の境界明瞭な腫瘍を認めた.組織学的には,4年前に切除した腎細胞癌に一致した混合亜型で,腎細胞癌の膵転移と判明した.
索引用語
renal cell carcinoma, pancreatic metastasis
日消外会誌 25: 2200-2204, 1992
別刷請求先
中川 国利 〒982 仙台市太白区八木山本町2-43-3 仙台赤十字病院外科
受理年月日
1992年3月11日
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