原著
表層拡大型胃悪性リンパ腫の臨床的検討
紀藤 毅, 山村 義孝, 中村 善則, 平井 孝, 坂本 純一, 安井 健三, 森本 剛史, 加藤 知行, 安江 満悟, 宮石 成一, 中里 博昭
愛知県がんセンター消化器外科
悪性リンパ腫に対する研究の進歩にともない,胃悪性リンパ腫に対しても新しい観点での治療法の導入が試みられている.胃悪性リンパ腫のなかでも新しい知見が得られている表層拡大型(表拡型)リンパ腫を今回研究対象とした.1965年から1990年までに手術した胃悪性リンパ腫102例のうち表拡型リンパ腫は26例であった.26例のうち深達度sm 19例,腫瘍最大径20 cm以上10例,リンパ節転移陽性11例,R2の郭清23例,全摘術19例であった.10生率は86.8%と高く,再発死亡は1例のみであった.リンパ節郭清,切除範囲が適切であれば予後は良好と考えられた.24例の組織型がIsaacsonら1)によるMALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma)であり,中村ら2)によるRLH(reactive lymphoreticular hyperplasia)はMALTリンパ腫であると考えられるようになっている.表拡型リンパ腫の認識は胃悪性リンパ腫の理解において重要な意味をもつものと考えられる.
索引用語
malignant lymphoma, superficial spreading type of gastric malignant lymphoma, mucosaassociated lymphoid tissue lymphoma, gastric malignant lymphoma
日消外会誌 25: 2455-2459, 1992
別刷請求先
紀藤 毅 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1992年5月13日
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