特集
手術侵襲初期におけるサイトカインの動態と周手術期の栄養状態,生体反応
藤田 哲二, 尾高 真, 松本 美和子, 桜井 健司
東京慈恵会医科大学第1外科
消化器外科手術患者43名で手術開始約2時間後に門脈血および末梢静脈血を同時に採取してサイトカイン濃度を測定した.サイトカイン相互の関連を検討するとともに,血清蛋白の術前値と手術時のサイトカイン濃度との相関の有無を調べた.さらにサイトカイン値の多寡と急性相蛋白の術後変動との関連を検討し,以下の結論を得た.
末梢静脈血ではinterleukin 1(IL-1)値とinterleukin 6(IL-6)値との間に有意な関係はなかったが,門脈血では両者間に正の相関関係(r=0.31,p<0.05)が認められた.補体第3因子の術前値と門脈血IL-6値の間には正の相関があり(r=0.64,p<0.001)があり,門脈血IL-1値との間にも正の相関(r=0.35,p<0.05)があった.門脈血IL-6値と術後1日目の血清CRP値との間には正の相関関係(r=0.47,p<0.01)が存在し,末梢静脈血のlL-6値との間にも正の相関(r=0.41,p<0.02)が認められた.以上から術前の栄養状態と侵襲時のサイトカイン産生能の間には密接な関係がある.
索引用語
cytokine response to surgery, nutritional status, acute phase protein
日消外会誌 25: 2580-2584, 1992
別刷請求先
藤田 哲二 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1992年7月6日
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