ピリオドール─抗癌剤動注療法併用肝癌切除例の予後因子に関する臨床病理学的検討

石川　詔雄, 深尾　立, 大塚　雅昭, 高瀬　靖広, 轟　健, 折居　和雄, 渋谷　進, 野末　睦, 湯沢　賢治, 足立　信也, 近森　文夫, 辻　勝久, 長田　明, 上田　廣, 山本　祐二, 倉本　憲明^＊, 斎田　幸久^＊, 坂井　悠二^＊, 中野　雅行^＊＊, 岩崎　洋治

筑波大学臨床医学系外科, 同　放射線科^＊, 千葉大学真核微生物研究センター^＊＊

　肝細胞癌手術の術前と術後に，リピオドール─抗癌剤懸濁液動注療法（L-TAI）をおこなった，絶対的非治癒切除例を除く肝切除耐術例34例の予後規定因子を検討した．そのうち11例（32％）に再発を認めた．その無再発生存率は，1年，91％，3年，68％，5年，45％であった，L-TAIによる80％以上の腫瘍内壊死，腫瘍径5 cm以下，組織学的被膜浸潤なし（fc-inf（-））そして組織学的門脈侵襲なし（vp（-））などの各因子は，有意に予後に良い影響を与えた．
　被膜浸潤の有無にかかわらず，3 cm以下の腫瘍の5年無再発生存率は100％であった．さらにfc-inf（-）例やfc-inf（十）例のそれぞれにおいて，壊死率の高いほど，また腫瘍径が小さいほど，再発までの期間は延長した．

索引用語
hepatocellular carcinoma, lipiodol transcatheter arterial infusion therapy, disease-free survival rate after hepatectomy, prognostic factors of hepatocellular carcinoma

別刷請求先
石川　詔雄　〒305　つくば市天王台1-1-1　筑波大学臨床医学系外科

受理年月日
1992年7月6日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です