原著
ラット小腸の虚血,うっ血およびその解除における組織障害と活性酸素種の関連
森脇 義弘, 片村 宏, 市川 靖史, 山本 俊郎, 杉山 貢*
横浜市立大学第2外科, 同 救命救急部*
ラットの小腸分節の支配動静脈を10分間,30分間遮断した虚血群と,灌流静脈のみを遮断したうっ血群とで,血行遮断解除後の組織障害の程度ならびに障害に対する活性酸素種の関与を比較検討した(n=80).また,これらの組織障害に対する活性酸素種のscavengerの抑制効果も検討した(n=16).同一時間の血行遮断であれば虚血群よりもうっ血群の方が組織障害が著しく,また,遮断時間が長い方が障害が著しかった.障害腸管の組織中過酸化脂質,灌流静脈の化学発光も,虚血群よりもうっ血群の方が高値を示したが,うっ血群では,血行遮断中の組織障害が進行し組織壊死が認められた30分間の血行遮断解除後よりも,10分間の血行遮断解除後の方が高値を示した.血行遮断解除後の組織中過酸化脂質,灌流静脈血化学発光の上昇はscavengerの投与で抑制された.
索引用語
ischemia-reperfusion of small intestine, congestion-reperfusion of small intestine, oxygen derived free radicals, liqid peroxidation
日消外会誌 25: 2938-2943, 1992
別刷請求先
森脇 義弘 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1992年9月9日
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