術後quality of lifeからみた幽門側胃癌根治術後の残胃十二指腸間空腸間置術の成績

船曳　孝彦, 落合　正宏, 天野　洋, 山口　久, 丸上　善久, 福井　博志, 長谷川　茂, 今津　浩喜, 新井　一史, 森　紀久朗, 中村　耕治, 森下　浩, 四方　敦

藤田保健衛生大学船曵外科

　郭清度および再建術式と術後quality of lifeとの関連を検討した．幽門側胃癌で，（1）噴門全周を含むR₃あるいはこれに準ずる郭清＋胃亜全摘＋空腸間置をA群，（2）同様な郭清，切除＋Billroth-I法をB群，（3）非郭清あるいはR₁郭清＋普通切除＋Billroth-I法をC群とし3者間で比較検討した．術後の内視鏡検査における残胃内胆汁逆流および残胃炎所見はA群ではいずれも認めず，B群ではそれぞれ52.6％（10/19），57.9％（11/19），C群では33.3％（5/15），46.7％（7/15）でありA群とB，C群とで差を認めた．逆流性食道炎所見はA，C群では1例もなくB群で21.1％（4/19）と高かった．計測上のHis角はA，B，C群でそれぞれ97°，133°，105°でA群で狭かった．シンチグラムでのRIの残胃内逆流はA群8.3％（1/12），B群40.0％（4/10）とA群が少なく，またLES圧はA群13.5 cmH₂O，B群11.8 cmH₂OとA群でやや高かった．体重減少率，食道炎症状，ダンピング症候群の発生率はいずれもB群において最も高かった．

索引用語
quality of life after distal gastrectomy, Billroth-1 anastomosis, jejunal interposition between remnant stomach and duodenum

別刷請求先
船曵　孝彦　〒470-11　豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98　藤田保健衛生大学船曳外科

受理年月日
1992年9月9日

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