症例報告
超音波カラードップラーが診断に有用であった慢性膵炎によるhemosuccus pancreaticusの1例
吉田 寛, 恩田 昌彦, 田尻 孝, 内田 英二, 山中 洋一郎, 真々田 裕宏, 相本 隆幸, 横山 滋彦, 松崎 栄, 佐々部 一, 内田 英一*
日本医科大学第1外科, 内田病院*
超音波カラードップラーが診断に有用であった慢性膵炎によるhemosuccus pancreaticus(HP)の1例を経験したので報告する.
症例は46歳の男性で,主訴は左季肋部痛,下血で,アルコール性慢性膵炎の既往があった.出血性ショック状態で,近医に緊急入院するも,出血源不明で,当科に紹介入院となった.腹部超音波にて,膵の石灰化,膵管の拡張と,尾部に26×28 mmのcystic lesionを認め,カラードップラーでは,同部の異常血流と乱流を認めたため,動脈瘤と診断した.選択的脾動脈造影にて,脾動脈瘤を確認し,脾偽性動脈瘤の膵管内穿破を疑い,膵体尾部,脾合併切除術を施行した.組織所見は,血栓の充満した仮性嚢胞で,主膵管の高度な拡張と,その内部に大量の血栓を認めたことより,膵仮性嚢胞が偽性動脈瘤となり,膵管内へ穿破したことによるHPと診断した.
索引用語
pseudoaneurysm of splenic artery, color Doppler echography, hemosuccus pancreaticus
別刷請求先
吉田 寛 〒113 文京区千駄木1-1-5 日本医科大学第1外科
受理年月日
1992年9月9日
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