再切除肝癌例の臨床病理学的検討

首藤　太一, 木下　博明, 広橋　一裕, 久保　正二, 岩佐　隆太郎, 久保田　太輔, 若狭　研一^＊, 山本　隆嗣^＊＊, 櫻井　幹己^＊＊

大阪市立大学第2外科, 同　付属病院病理部^＊, 同　第2病理^＊＊

　1991年12月末までに治癒切除の施しえた肝癌263例のうち142例が再発し，これら症例のうち20例（14％）に再切除が施行された．そこで再切除症例の初回切除時ならびに再切除時の臨床病理的所見を比較検討した．
　これら20例の再発確認までの平均日数は875日であり，indocyanine green 15分停滞率でみた肝機能は悪化する傾向にあり，切除術式は縮小化していた．腫瘍径は小さくなる傾向にあるものの，肝内転移巣，門脈内腫瘍栓を有し，多発する傾向にあった．また8例が対側葉に再発していた．これらを肝癌取扱い規約改訂第3版に基づいて肝内転移巣の増大と多中心性再多に分類することを試みたが，鑑別の困難な症例が多かった．
　再発肝癌治療として再切除は有効ではあるものの，再発肝癌の病態はなお不明な点が多い．これらの早急な解明と病態に応じた治療法の確立が肝癌治療成績の向上に必要である．

索引用語
recurrence of resected hepatocellular carcinoma, second resection of hepatocellular carcinoma, intrahepatic metastasis of hepatocellular carcinoma, multicentric occurrence of hepatocellular carcinoma

別刷請求先
首藤　太一　〒545　大阪市阿倍野区旭町1-5-7　大阪市立大学第2外科

受理年月日
1992年9月9日

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