症例報告
胃平滑筋芽細胞腫の1例
佐溝 政広, 中村 毅, 多淵 芳樹*, 川崎 健太郎, 浜辺 豊, 加藤 道男, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科, 同 医療技術短期大学部*
腹部腫瘤を主訴とした50歳の男性症例を経験した.肝左葉に浸潤した胃肉腫の診断で胃全摘術ならびに肝左葉外側区域切除を行った結果,組織学的には紡錘形および円形の腫瘍細胞が増殖し,核周囲に空胞化した細胞と,エオジン好性の胞体を有する上皮性細胞が巣状発育しており平滑筋茅細胞腫であった.同疾患はlow grade malignancyとされており,本例のような転移浸潤例の報告は少ない.悪性度の指標としてmitotic rate・腫瘍径・核DNA量・病悩期間などの報告が挙げられるが,mitotic rateに対して否定的な意見もあり,また.核DNA量に関しても自験例のごとく転移浸潤を伴った症例でもdiploidy patternを呈しており,それのみで確実な指標とはいい難い.悪性度の診断には各種の指標を総合的に判断する必要があると考えられ,また.可能な限り胃癌に準じた手術法を行うべきであると思われる.
索引用語
leiomyoblastoma of the stomach, DNA ploidy pattern, malignant signs
別刷請求先
佐溝 政広 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1992年9月9日
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