症例報告
術前化学療法により高度なリンパ節転移が消失し切除可能となった胸部食道癌の1例
坂本 英至, 松原 敏樹, 植田 守, 奥村 栄, 中島 聰總, 西 満正, 井上 雄弘*
癌研究会附属病院外科, 同 化学療法科*
症例は64歳の男性.進行食道癌で,両主気管支,左房,両下肺静脈浸潤を伴う高度な縦隔リンパ節転移を認め,手術不能と判断した.化学療法として,CDDP 75 mg/m2/day 1/q4w,MMC 10 mg/m2/day 1/q8w,5FU 600 mg/m2/day 2~4/q4 w(持続静注)を4クール施行した.
化療後原発巣および転移巣ともに消失したため根治術が可能となった.病理組織学的には主病巣には粘膜内に小癌巣を残すのみで他はまったく消失しており(Ef2),またリンパ節転移巣は完全に消失していた(Ef3).
索引用語
carcinoma of the thoracic esophagus, neoadjuvant chemotherapy
日消外会誌 26: 1033-1037, 1993
別刷請求先
坂本 英至 〒170 東京都豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1992年12月9日
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