症例報告
胃の癌肉腫の1例
川端 康次, 中井 堯雄, 大場 清, 奥村 武夫, 松浦 豊, 宮崎 芳機, 伊藤 直史, 藤城 健, 竹村 隆志
名古屋掖済会病院外科
症例は72歳の男性で,食欲不振と貧血を主訴として来院し,胃内視鏡検査にて幽門部にボールマンI型の腫瘍を指摘された.生検にて平滑筋肉腫と診断した.入院後,大量吐血あり緊急手術を施行した.術後の組織学的検索にて癌肉腫と診断した.リンパ節転移巣には腺癌の転移と上皮性か非上皮性か鑑別不能の未分化な細胞を認めた,患者は術後5か月後肝転移巣の増大による肝不全にて死亡した.肝転移巣には腺癌の転移のみを認めた.
免疫組織染色によると腺癌細胞はcarcinoembryonic antigen,epithelial membrane antigenに強陽性であり,desmin,vimentin,s-100蛋白に陰性であった.
一方,肉腫様細胞はdesmin,vimentin,s-100蛋白に陽性で,上皮性マーカーには陰性であった.
胃の癌肉腫(衝突腫瘍を除く)は本邦では20例が報告されている.
索引用語
carcinosarcoma of the stomach, immunohistological study, pseudosarcoma
日消外会誌 26: 2189-2193, 1993
別刷請求先
川端 康次 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1993年4月14日
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