症例報告
経口避妊薬服用女性に発生した肝細胞腺腫の1例
丸山 敬二, 吉川 清次*, 橋本 光孝*, 竹本 寛*, 井上 章*, 杉谷 章*, 新井 冨生**, 喜納 勇**, 椙村 春彦**
浜松医科大学第2外科, 浜松労災病院外科*, 浜松医科大学第1病理**
経口避妊薬(ノルゲストレル+エチニルエストラジオール)を約5年間継続して内服していた26歳の日本人女性が発熱と右季肋部痛を訴え来院.精査の結果肝右葉に多発性腫瘍を認め,このうち出血性壊死性腫瘍のみを切除し病理組織学的に検討した結果,腫瘍はほとんどすべてが出血ないしは壊死に陥っているが,ghost状のtrabecular patternを認識しうる部分が存在し,腫瘍細胞は正常肝細胞に類似した異型性の乏しい細胞であることがうかがえた.また腫瘍内にはportal triadを認めなかった.腫瘍周囲の肝組織は正常で炎症や線維化を認めず,以上より病理組織学的に肝細胞腺腫が最も考えられた.本症例では残存腫瘍は経口避妊薬服用の中止により大きさ・数ともに減少してきており,良性の経過をたどっているがまれに悪性化する症例も報告されているので厳重なfollow-upが必要と考える.
索引用語
hepatocellular adenoma, oral contraceptive
日消外会誌 26: 2658-2662, 1993
別刷請求先
丸山 敬二 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1993年7月7日
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