症例報告
小児に発症した胃平滑筋芽細胞腫の1例
橋本 可成, 福田 裕, 松井 祥治, 藤本 彊, 裏川 公章*
加古川市民病院外科, 神戸労災病院外科*
症例は11歳の男児.主訴は嘔吐と下血.胃透視,胃内視鏡検査で胃体部小彎側前壁の約3 cmの粘膜下腫瘍からの出血と確認され手術に至る.術中迅速病理診断で胃平滑筋芽細胞腫と診断され,リンパ節郭清を含む幽門側胃切除,Billroth I法で再建を行った.病理所見は豊富な好酸性胞体を有する円形細胞や淡明化した胞体を有する細胞からなる腫瘍でmitosisも散見されたが,摘出リンパ節への転移はなかった.術後経過は良好で,胸部X線,腹部超音波検査,ガリウムシンチで異常所見を認めなかった.
小児発症の胃平滑筋芽細胞腫はまれで本邦の報告は4例のみである.欧米での報告では13例中11例が女児で7例にfunctioning extra-adrenal paragangliomaやlung chondromaのCarney's Triadを発症していたが,本邦での報告はない.しかし,胃病変と異時性に発症することが少なくないことから,厳密な術後の経過観察が必要と考える.
索引用語
gastric leiomyoblastoma in childhood, Carney's triad
日消外会誌 26: 2827-2831, 1993
別刷請求先
橋本 可成 〒674 明石市大久保町森田135-8 加古川市民病院外科
受理年月日
1993年9月8日
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