原著
熱傷ストレス潰瘍発生時のラット胃粘膜複合糖質の変化からみた防御機構に関する検討
茂木 瑞弘
杏林大学第1外科
熱傷負荷によるラット胃粘膜複合糖質の変化を検討した.Wistar系雄性ラット(n=100)の背部に熱傷を負荷し,Peanut agglutinin(以下,PNA)を用いて検討し迷切術+幽門形成術(以下,迷切術),H2受容体拮抗剤(以下,H2RA),プロトンポンプ阻害剤(以下,PPI)の影響についても併せて検討した.光顕的に熱傷負荷前には増殖細胞領域にPNA結合反応が認められ負荷後ではその上方,下方ヘと反応が増大した.迷切術群,H2RA群も同様の傾向であった.しかしPPI群では経時的変化は同様であったがその反応は全体的に抑制された.電顕的検索でも熱傷負荷後壁細胞の分泌細管を中心に反応が増大したがPPI群では変化はなかった.PNAが粘液の複合糖質の変化を表現していることにより壁細胞自身が胃粘膜において粘膜防御機構に関与していることが考えられ,H2RA,迷切術がこれらを増強し,一方,PPIは複合糖質からみても壁細胞自体の働きを抑制すると考えられた.
索引用語
PNA lectin binding sites, parietal cell, burn stress ulcer in rat, cytoprotection of gastric mucosa
別刷請求先
茂木 瑞弘 〒181 三鷹市新川6-20-2 杏林大学医学部第1外科
受理年月日
1993年10月13日
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