胃膠様腺癌の臨床病理学的検討―亜分類と組織型別AgNORsの比較―

河村　正敏, 佐藤　徹, 津島　秀史, 横川　京児, 丸森　健司, 井関　雅一, 鈴木　毅, 小林　英昭, 小松　信男, 高村　光一, 新井　一成, 草野　満夫

昭和大学外科

　胃膠様腺癌61例を非膠様腺癌748例と比較検討した．膠様腺癌は，腫瘍径が大きく，占居部位では全領域，肉眼型では3，4型の浸潤型，深達度は深いもの，リンパ節転移，腹膜播種が多く，治癒切除率は低かった（p＜0.01，0.05）．stage別5年生存率をみるとstage III，IV症例では分化型癌に比べ有意に低かった（p＜0.05）．膠様腺癌を分化型25例，低分化型36例に亜分類し検討した．低分化型は若年者，女性に多く，M領域，3，4型の浸潤型が多く（p＜0.01，0.05），有意差はないものの腹膜播種が多くみられた．AgNORs Labeling lndexを比較すると早期癌では各組織型で変わらなかったが，進行癌では未分化型癌6.01±0.89，分化型癌5.21±1.38，膠様腺癌6.76±1.44と膠様腺癌で有意に高かった（p＜0.01，p＜0.05）．胃膠様腺癌は，細胞増殖能が高いため，早期発見，早期治療が望まれる．また，亜分類によりその生物学的特徴を把握し，術後follow upを行うべきである．

索引用語
mucinous adenocarcinoma of the stomach, histological subtype of mucinous adenocarcinoma, AgNORs

別刷請求先
河村　正敏　〒142　品川区旗の台1-5-8　昭和大学外科

受理年月日
1993年10月13日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です