原著
早期胃癌におけるリンパ節転移のrisk factor―内視鏡的切除の適応に関する検討―
八木 真悟, 川上 卓久, 田中 松平, 横山 浩一, 龍沢 泰彦, 伴登 宏行, 山田 哲司, 北川 晋, 中川 正昭
石川県立中央病院一般消化器外科
早期胃癌のリンパ節転移のrisk factorを検討することで,内視鏡的切除の適応を求めた.対象は1976年1月から1992年12月までに当科で手術経験した早期胃癌572例である.52例(9.1%)でリンパ節転移陽性であった.統計学的に有意にリンパ節転移陽性のriskであったものは,脈管侵襲,深達度,大きさ,組織型であった.間質量,肉眼型で傾向がみられた.占居部位,INF,潰瘍病変はrisk factorとはならなかった.Major factorとして(1)脈管侵襲陽性,特にリンパ管侵襲陽性,(2)深達度sm,(3)大きさ2 cm以上,(4)組織型でtub2,por,sigが考えられ,minor factorとして(5)間質量intermediate,scirrhous,(6)肉眼型で隆起型と混合型が考えられた.したがって術前診断の容易性,手技上の安全性,治癒度からみて,(1)大きさ2 cm以下,(2)組織型でpap,tublが,早期胃癌での内視鏡的切除の,必要十分な条件と考える.
索引用語
early gastric cancer, risk factor for lymph node involvement, endoscopic resection
別刷請求先
八木 真悟 〒920 金沢市南新保町ヌー153 石川県立中央病院
受理年月日
1993年10月13日
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