症例報告
食道裂孔ヘルニアに対する手術経験―NissenのDor変法によるfundoplicationを施行した4例―
伊与部 尊和, 川村 泰一, 嶋 裕一, 澤崎 邦廣, 巴陵 宣彦, 藤田 秀春
高岡市民病院外科
逆流性食道炎を伴う食道裂孔ヘルニアの4例に対してNissenのDor変法によるfundoplicationを施行した.年齢は56歳から76歳までで,女性3例,男性1例であった.主訴は3例に嘔吐と1例に胸やけを認め,全例が術前には中等度以上の逆流性食道炎の所見を認めた.手術時間は最長で95分であり,術中出血量も150 ml以下であった.また全例に術後合併症を認めなかった.術後の内視鏡所見では逆流性食道炎は3例で治癒し1例で軽快の所見を認め,嚥下困難などの愁訴は全例とも認めていない.本術式は手術侵襲が小さく,安全に施行できる術式と考えられ,難治性の逆流性食道炎を伴う食道裂孔ヘルニア症例には積極的に外科的治療を行うべきと考えられた.
索引用語
fundoplication, reflux esophagitis, sliding esophageal hiatal hernia
別刷請求先
伊与部尊和 〒933 高岡市宝町4-1 高岡市民病院外科
受理年月日
1993年10月13日
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