症例報告
小腸間膜リンパ管筋腫症の1例
竹之内 伸郎, 三浦 哲哉, 大竹 節之, 日下 貴文, 藤森 勝, 関下 芳明, 塩野 恒夫, 黒島 振重郎, 山口 潤1)
帯広厚生病院外科, 同 病理1)
症例は28歳の女性.腹痛を主訴として来院した.精査の結果,腎の上極のレベルから骨盤腔にわたる腫瘤を認め,小腸間膜腫瘍の診断にて手術を施行した.腫瘍は小腸間膜に限局していたが腸管壁内にも一部浸潤しており腸管と共に腫瘍を切除した.組織学的所見では,内皮細胞に被覆されリンパ液を内容とする大小のcystを認め,その周囲には平滑筋細胞の増殖が観察され,リンパ管筋腫症と診断された.
リンパ管筋腫症は,妊娠可能な年代の女性に認められ,縦隔・肺・後腹膜のリンパ組織に過誤腫性の平滑筋細胞の過形成を生ずるまれな疾患である.なかでも,腸間膜の発生例は極めてまれで,これまでに4例の報告例をみるのみである.今回われわれは小腸間膜リンパ管筋腫症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
lymphangiomyomatosis, mesenterium
別刷請求先
竹之内伸郎 〒080 帯広市西6条南8丁目 帯広厚生病院外科
受理年月日
1993年11月1日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|