原著
実験的急性胃潰瘍発生におよぼす閉塞性黄疸の影響に関する胃粘膜壁細胞ミトコンドリアの電子顕微鏡学的組織計測による検討
松田 好郎, 佐々木 巌, 神山 泰彦, 舟山 裕士, 内藤 広郎, 松野 正紀
東北大学第1外科
閉塞性黄疸時の急性潰瘍発生における胃粘膜エネルギー代謝についてSprague-Dawley ratを用い,実験1では対照群,黄疸2,4,6,8週群および減黄群(黄疸2週後減黄3日間)を作成し,実験2では対照群,黄疸2週群および減黄群に対して水浸拘束ストレスを負荷し,それぞれ壁細胞ミトコンドリア(Mt)の超微形態を組織計測学的に検討し以下の成績を得た.1)黄疸2週では対照群に比べMt数,クリステ数は有意に増加した.2)黄疸4週,8週ではMtの膨化などの形態異常が出現した.3)減黄群ではMt数,クリステ数,Mt断面積が対照群とほぼ同様レベルに回復した,4)水浸拘束時のMtは対照群に比べ黄疸群でより高度の障害像を呈した.以上より,黄疸時の急性潰瘍発生には壁細胞Mtの超微形態像で示される胃粘膜エネルギー代謝障害が深く関与すると考えられた.また,これらは滅黄により改善されることが確かめられた.
索引用語
acute gastric ulcer, obstructive jaundice, ultrastructure of parietal cell, water-immersion restraint stress, effect of biliary drainage
別刷請求先
松田 好郎 〒980 仙台市星陵町1の1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1993年12月8日
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