特集
胃癌の肝転移,腹膜播種に対する治療
喜多村 陽一, 鈴木 博孝, 笹川 剛, 山本 清孝, 高石 祐子
東京女子医科大学消化器外科
胃癌のリンパ節転移に関する検討ならびに治療は,近年著しい進歩を遂げたといえる.しかし,腹膜播種性転移や肝転移にたいしては,いまだ十分な検討が行われていない.そこで本稿では,現在我々が行っている肝転移に対するTAE療法と,腹膜転移に対する経大動脈的化学療法の検討結果を記す.
【肝転移】肝癌で治療効果が確認されているTAE療法を応用した.注入薬剤はADR Liplodol emulslonの効果増強を計るために,界面活性剤Lecithinを混入した.混合濃度は0.5%とし,動物実験で効果を確認後,臨床に使用した.生存率で検討すると,H3症例では有効性は認めなかったが,H1,2ではLecithin配合群が良好な生存率を示した.
【腹膜播種】大動脈から腰動脈を経由して腹膜へ薬剤が移行し,腹膜での蓄積性,抗腫瘍効果を実験的に確認した.効果は腹腔内投与群と同等であり,満足すべきものであった.
索引用語
liver metastatis of gastric cancer, peritoneal dissemination of gastric cancer, treatment of stage IV gastric cancer
別刷請求先
喜多村陽一 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1993年12月8日
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